特別障害手当との関係

特別障害手当とは?

特別障害手当は、精神または身体に著しく重度の障害があるため、日常生活において常時特別の介護を必要とする在宅の20歳以上の方に支給される、国の手当です。
障害年金や障害者手帳の等級とは異なる独自の基準があり、「在宅で重い障害を持つ方」を支えるための重要な福祉制度です。

目次

1. 支給金額と支給時期(2024年度・令和6年度現在)

金額は物価変動等により毎年度改定される可能性があります。

  • 支給月額29,590円(令和7年4月より適用)

支給スケジュール

手当は毎月支払われるのではなく、年4回、3ヶ月分まとめて指定口座に振り込まれます。

支給月対象期間
2月11月・12月・1月分
5月2月・3月・4月分
8月5月・6月・7月分
11月8月・9月・10月分

2. 受給できる人の条件(対象者)

この手当の認定基準は非常に厳しく設定されています。「身体障害者手帳1級だから自動的に貰える」というものではありません。

基本要件

  1. 年齢: 20歳以上であること。
  2. 障害の状態: 政令で定める程度の著しく重度の障害状態にあり、日常生活において常時特別の介護を必要とする状態であること。

具体的には?

おおむね、身体障害者手帳1級・2級程度の障害が重複している場合や、それと同等の疾病・精神障害により、食事・用便・着替えなどの日常生活動作に全面的な介助が必要な状態、あるいは絶対安静の状態などが該当します。

※ここが重要!受給できないケース(支給制限)

どんなに障害が重くても、以下のいずれかに当てはまる場合は受給できません。

  1. 施設に入所している場合
    • 特別養護老人ホーム、障害者支援施設などの施設に入所している場合は対象外です。
  2. 病院・診療所に継続して3ヶ月を超えて入院している場合
    • 入院生活が長引いた場合は、資格喪失届を出す必要があります。

3. 所得制限について

特別障害者手当についてhttps://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jidou/tokubetsu.html

受給資格者(特別障害者)の前年の所得が一定の額を超えるとき、もしくはその配偶者又は受給資格者の生計を維持する扶養義務者(同居する父母等の民法に定める者)の前年の所得が一定の額以上であるときは手当は支給されません。

(単位:円、令和7年8月以降適用)

扶養親族等の数受給資格者本人受給資格者の配偶者及び扶養義務者
所 得 額(※)参考:収入額の目安所 得 額(※)参考:収入額の目安
03,661,0005,252,0006,287,0008,319,000
14,041,0005,728,0006,536,0008,586,000
24,421,0006,203,0006,749,0008,799,000
34,801,0006,668,0006,962,0009,012,000
45,181,0007,090,0007,175,0009,225,000
55,561,0007,512,0007,388,0009,438,000

※所得額の計算には、障害者控除や医療費控除などの各種控除が適用されます。詳しくは自治体の窓口での確認が必要です。

4. 申請から受給までの流れ

申請窓口は、お住まいの市区町村の「障害福祉課」(またはそれに準ずる窓口)です。

手順

  1. 相談・用紙の入手
    ・窓口で「特別障害手当の申請をしたい」と伝え、所定の診断書用紙(特別障害手当用)をもらいます。
    ・※障害者手帳用の診断書や、年金用の診断書とは様式が異なります
  2. 医師による診断書の作成
    ・かかりつけ医に専用の診断書を記載してもらいます。
  3. 申請書の提出
    以下の書類を揃えて窓口に提出します。
    ・認定請求書
    ・専用の診断書(原則、申請月または前月作成のもの)
    ・身体障害者手帳、療育手帳(お持ちの方)
    ・本人名義の通帳
    ・年金証書等の受給額がわかるもの
    ・マイナンバー(個人番号)確認書類
  4. 審査・決定
    自治体および県の審査会等で審査が行われます。結果が出るまで1〜2ヶ月程度かかる場合があります。

5. よくある質問・注意点

障害基礎年金と一緒にもらえますか?

はい、併給可能です。

障害年金(1級・2級)をもらっていても、要件を満たせば特別障害手当も受け取ることができます。これは非常に大きなメリットです。

20歳未満の重度障害児はどうなりますか?

「障害児福祉手当」の対象になります。

20歳未満の場合は、別の制度である障害児福祉手当の対象となります。20歳になった段階で、特別障害手当への切り替え申請を行います。

税金はかかりますか?

非課税です。

特別障害手当は所得税や住民税の対象にはなりません。

まとめ:あきらめずに相談を

特別障害手当は、「在宅での重度介護」を経済的に支えるための制度です。

「寝たきりで介護が大変だけれど、施設には入っていない」「障害年金だけでは生活が苦しい」という場合、要件に当てはまる可能性があります。

ご自身やご家族が対象になるかもしれないと思ったら、まずは市区町村の障害福祉担当窓口へ相談してみてください。

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