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「パニック障害」「強迫性障害」「不安障害」など、いわゆる“神経症”と呼ばれる症状に苦しんでいる方は少なくありません。
しかし、障害年金の制度において、これら神経症は原則として年金の対象外とされています。
実際に多くの申請が「不支給」となっている現実がありますが、「なぜ対象外なのか?」という理由についてはあまり知られていません。
本コラムでは、その背景にある医学的・制度的な考え方と、社会保険審査会の公式見解も交えながら解説します。
障害年金制度において、神経症が対象外とされる理由は大きく以下の2点に集約されます。
神経症は、一般に発症から改善までの経過が比較的短期に収まることが多く、また症状の波(良くなったり悪くなったり)も大きいとされます。
したがって、「長期にわたり固定した障害」としての認定は難しいとされがちです。
神経症では、患者本人が病気であることによって現実から逃れたり、周囲の同情を得たりする「心理的利益(疾病利得)」を無意識のうちに享受している場合があるとされます。
このため、年金による保障が逆に「病気を治そうとする意欲」を弱めてしまい、患者本人にとって不利益になるという考え方も制度設計上存在します。
神経症には、「自己治癒可能性」、すなわち、患者自身が気づきと努力によって、病状から回復する可能性があるという特性があると医学的には考えられています。
また同時に、神経症ではしばしば、
といった「疾病利得」が働くこともあると考えられております(個人的にはこの見解にはかなり疑問はありますが)。
社会保険審査会の平成21年(国)134号の裁決では、以下のように明記されています。
「典型的な神経症に自己治癒可能性及び疾病利得がみられることは、現在でも否定できない」
「障害基礎年金制度の趣旨目的からして、一定範囲のものを対象傷病から除くことは合目的的である」
つまり、障害年金の目的が「固定的・長期的な障害によって働けない人への経済的支援」であることを踏まえると、神経症のように回復可能性が高く、症状の持続が環境要因によって左右されやすい疾患を対象外とするのは合理的であるという判断です。
以上の通り、神経症が障害年金で原則対象外とされるのには、医学的・心理的・制度的な根拠があります。
しかし、それでも現実には、神経症であっても生活全般に支障が大きく、精神病の病態(うつ病や統合失調症等)を示すような場合には、年金が認められることもあります。
「診断名」は確かに重要ですが、「神経症=絶対に無理」ではありません。
諦める前に、専門家にご相談ください。