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失業手当(雇用保険の基本手当)と障害年金は、どちらも生活を支える大切な制度です。しかし、それぞれの仕組みや前提が大きく異なるため、両方を受け取れるのか、手続きをどう進めればいいのか、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
ここでは「併給の可否」「制度の考え方」「実際に受け取る際の注意点」まで、基礎から整理して解説します。
日本の社会保障制度には、複数の制度から似た性質の給付を同時に受ける場合、どちらかを減額・停止する「調整のルール」が設けられているものがあります。
例えば、
などは、金額が重複しないように一定の調整が入ります。
しかし、失業手当と障害年金の組み合わせには 調整規定がありません。
つまり、
受給要件を満たしている限り、障害年金と失業手当を同時に受け取れるケースがある
ということです。
ここが他の制度と大きく違うポイントです。
失業手当は、雇用保険に加入していた人が職を離れたとき、次の仕事を探す間の生活を支えるための給付です。
誤解されがちですが、
「失業していれば自動的にもらえる制度」ではありません。
特に重要なのが
“就労できる能力があるかどうか”。
具体的には、
といった視点から判断されます。
退職理由が体調不良・障害の場合、医師が作成する「就労可能証明書」の提出を求められることがあります。
この書類で、
が確認される仕組みになっています。
身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳などの所持者は、雇用保険ではしばしば 「就職困難者」 の区分に入ります。
精神疾患の場合、手帳がなくても「医師の意見書」で認められる場合があります。
一般の受給者と比べて、
などの、いわゆる“配慮措置”があります。
体調に不安のある人でも失業手当を利用しやすくするための仕組みです。
障害年金は、病気やケガにより日常生活や就労に制限を抱える人を経済面で支える制度です。
失業手当と違い、
働く意思や就労能力の有無が直接の要件ではありません。
などです。
働いていても、
といった場合は障害等級に該当しうるため、
「働いている=障害年金はもらえない」
というわけではありません。
失業手当と障害年金には調整がないとはいえ、いくつか実務上の注意点があります。
体調が悪くて就職活動ができないときは、
受給期間の延長(最大4年)を使う方が適切です。
無理にハローワークへ通う必要はありません。
失業手当は医師及び就労能力があることが前提なので、障害年金2級の受給(就労困難)と矛盾します。
詳しくは⇨こちら
失業手当と障害年金は、それぞれ目的の異なる制度であり、併給調整の対象にならないため同時に受け取れるケースがあります。
一方で、失業手当には「いつでも働ける状態であること」が求められ、“就労できる能力がある”ことが受給の前提になります。
これに対し障害年金は、働けるかどうかだけで判断されるものではなく、日常生活や就労にどれだけ制限が生じているかがポイントです。
そのため、短時間勤務や配慮を受けながら働いている場合でも受給が認められることがあります。
それぞれの制度の成り立ちと要件を正しく理解しておくことで、受けられる支援を取りこぼさずに済みます。もし判断に迷う場面があれば、専門家に相談しながら自分に合った制度活用を進めていくと安心です。
厚生労働省「基本手当について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135026.html