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障害年金の請求において、傷病の原因が「故意の犯罪行為や重大な過失」または「故意の事故」に該当する場合、給付が制限されることがあります。
特に、違法薬物(覚醒剤、大麻など)の使用や自殺未遂による精神障害や身体障害は、この「故意の事故」の解釈が複雑に絡み合うため、非常に専門的な判断が求められます。
障害年金が支給されるのは、原則として「加入中に生じた病気やケガ」によるものです。しかし、国民年金法には給付を制限する規定があり、その判断が本件の核心となります。
| 制限の根拠 | 対象となる行為 |
| 国民年金法 第69条 | 故意に障害又はその直接の原因となった事故を生じさせた者の当該障害については、これを支給事由とする障害基礎年金は、支給しない |
| 厚生年金保険法第73条の2 | 被保険者又は被保険者であつた者が、自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となつた事故を生ぜしめ、若しくはその障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、保険給付の全部又は一部を行なわないことができる。 |
障害年金制度の裁定実務において、精神障害を原因とする自殺未遂(自傷行為)は、先に述べた「故意に障害又はその直接の原因となった事故を生じさせた者」には原則として該当しないと解釈されています。
【理由】
日本の精神医学において、自殺企図の多くは重度の精神疾患(うつ病、統合失調症など)の症状の一部であり、「本人の自由な意思決定に基づく行為ではない」(すなわち、責任能力を欠いた状態での行為)と見なされます。
障害年金の審査は、個別具体的な事情を踏まえて行われます。 そのため、次のような場合には、直ちに不支給と判断されるわけではありません。
障害年金制度は、違法行為そのものを処罰する制度ではなく、年金給付との因果関係を評価する制度である点を正しく理解する必要があります。
診断書は、障害年金審査における最重要資料であり、記載内容次第で審査の方向性が決定づけられます。
特に、以下の点が重点的に確認されます。
これらの記載がある場合、審査上は違法薬物使用と障害との医学的因果関係が強く推認されることになります。
一方で、診断書上、違法薬物使用が「既往歴」や「参考情報」として整理され、現在の障害の主たる原因が別に明確化されている場合には、給付制限の対象とならない可能性も検討されます。
そのため、診断書の作成を医師に依頼する際には、
単に診断名を記載してもらうだけでなく、病態の経過や原因関係について、どのように医学的に評価されているのかを明確にしてもらうことが重要です。
実務上は、診断書の「備考欄」等において、現在の傷病については、過去の違法薬物使用(覚醒剤や大麻等)との間に、医学的にみて直接的な因果関係は認められないと考えられる。
といった趣旨の記載をしてもらうことができれば、現在の障害と違法薬物使用とを切り分けて評価すべきであることを、審査側に明確に伝える効果が期待できます。
*もっとも、このような記載は、事実関係や医学的所見に基づいて初めて可能となるものであり、形式的に記載を求めればよいというものではありません。
あくまで、主治医が医学的にみて「現在の傷病と過去の違法薬物使用との間に因果関係は認められない」と判断している場合に限り、その見解を診断書上に適切に反映していただく、という位置づけになります。
したがって、診断書の記載内容については、社労士や本人の希望を一方的に押し付けるのではなく、医師の医学的判断を尊重したうえで、事実関係や経過を正確に共有し、
その結果として記載されるものであることを十分に理解しておく必要があります。
初診日の設定は、障害年金の可否を左右する極めて重要な要素であり、違法薬物使用が関係する案件では、特に慎重な整理が求められます。
実務上、次の点が問題となります。
初診日の整理を誤り、現在の障害を「違法薬物使用を原因とする同一傷病」と一本化してしまうと、
結果として、給付制限の対象と判断されるリスクが高まります。
一方で、薬物使用とは無関係に発症・進行した精神疾患や、薬物使用後に別の病態として固定した障害であることを医学的・事実的に整理できれば、異なる評価がなされる余地も生じます。
この点は、医療記録や通院歴、生活状況の変化などを総合的に検討する必要があり、専門的判断が不可欠な分野です。
現在の違法薬物使用の有無は、審査実務において非常に重視される要素の一つです。
・障害の原因が継続的な違法行為と評価される可能性が高く、認定は極めて厳しくなります。
・障害の固定性や生活能力の低下について、医学的・社会的観点から検討される余地があります。
*単に「使用していない」という事実だけでなく、どのような経過を経て現在の状態に至っているのかを丁寧に説明することが重要です。
違法薬物(覚醒剤や大麻等)の使用が関係する障害年金の案件では、一つひとつの事実関係そのものよりも、それらをどのように整理し、制度上どのように評価するかが、結果を大きく左右します。
私がこれまでご相談をお受けした中には、過去の違法薬物使用について正直に申告した結果、他の社会保険労務士から「難しい案件」として依頼を断られてしまった方もいらっしゃいました。
しかし、その後あらためて医療経過や発症時期、病態の整理を行い、医学的因果関係を丁寧に検討したうえで申請をサポートした結果、令和7年度においても障害年金の支給が認められたケースがあります。(受給事例参照)
このように、違法薬物使用の既往があるという理由だけで、直ちに障害年金の可能性が否定されるわけではありません。
ご自身の状況が障害年金の対象となり得るかどうかは、
個別具体的な事情によって大きく異なります。
判断に迷われた場合には、早い段階で専門家にご相談いただくことが重要です。
使用歴があるという理由のみで不支給になるわけではありません。現在の障害との医学的因果関係が否定できる場合、請求が認められる可能性はあります。
請求自体は可能ですが、認定は極めて厳しくなります。治療や断薬の事実が確認できない場合、不支給となる可能性が高いといえます。
実務上、非常によくあるご相談です。診断書作成にあたっては、事前に事実関係や経過を整理したうえで、医師に適切に説明することが重要となります。この点は、専門家が関与する意義が特に大きい部分といえます。
なお、過去の違法薬物使用歴について、意図的に医師へ伝えなかったり、事実と異なる説明を行ったりすることは、不正受給に該当するおそれがあります。医師には、あくまで事実として正確にお話しいただいたうえで、その使用歴と現在の病状との医学的関係性を、医学的所見に基づいて判断していただくことが重要です。
当事務所では、単に記載を避けることを目的とするのではなく、正確な事実関係を前提に、診断書上どのような点が制度上重要となるのかを整理し、サポートしております。
主たる原因が争点となります。発症時期、症状の経過、環境要因などを総合的に整理することが重要です。
新たに違法薬物使用が判明した場合などには、その可能性があります。
医療経過の整理、初診日の確認、現在の生活状況の整理が重要です。これらが不十分な場合、適切な判断がなされないおそれがあります。
一概に不可能と判断されるわけではありません。
障害年金の審査では、刑事責任の有無ではなく、現在の障害と違法薬物使用との医学的因果関係が評価されます。
過去に違法薬物使用や刑事処分歴があったとしても、現在の障害の症状に過去の違法薬物使用の影響がないと判断されれば、給付対象となる余地があります。
実務上、非常に多いケースです。医師が懸念されているのは、「違法薬物使用=すべて不支給になるのではないか」という誤解であることも少なくありません。
制度上の評価軸を整理した上で、
・どの病態を主傷病として記載するのか
・薬物使用歴をどの位置づけで整理するのか
を事前に説明することで、診断書作成が可能となるケースもあります。