20歳前傷病による障害基礎年金の所得制限について

このページでは「20歳前傷病による障害基礎年金の所得制限」について、基準、扶養親族による加算額、判定に用いる所得の定義、計算例を整理しています。

20歳前傷病による障害基礎年金の所得制限について

目次

適用開始時期

  • 20歳前に発症した障害で障害基礎年金を受ける場合、毎年「本人の前年の所得」を基に支給の可否が決まります。
  • そして、その所得で判定される支給期間は 令和7年10月分から翌年9月分までの1年間 になります。
  • 判定に用いられる所得は、前年(令和6年分)の所得です。

所得制限基準額(基礎構造部分)の改正詳細

令和7年10月1日から、

半額停止基準:前年の所得が「376万1,000円」を超える

全額停止基準:前年の所得が「479万4,000円」を超える

*上記基準額は、扶養親族等がいない場合の金額です。

*半額停止基準を超え、全額停止基準以下の所得の場合は、年金額の2分の1が停止されます。

扶養親族等に係る加算額の構造

扶養している家族がいる場合は、その人数に応じて所得制限額が上乗せされます。

基本的には 扶養親族1人につき38万円 加算されます。

ただし扶養している家族の区分によって加算額が変わり、

  • 老人控除対象配偶者 または 老人扶養親族 … 1人あたり 48万円
  • 特定扶養親族 または 控除対象扶養親族(19歳未満に限る) … 1人あたり 63万円

と、それぞれ加算額が増える仕組みになっています。

留意事項と実務上の確認点

1. 適用所得の定義(「収入」と「所得」の区別)

支給停止の判定に用いられるのは、税法上の「総所得金額」から、障害者控除や医療費控除などの特定控除を差し引いた後の「所得額」です。年金や給与の額面(収入)とは異なりますので、必ず市区町村長の発行する所得証明書や源泉徴収票(給与所得控除後の金額)に基づき確認する必要があります。

2. 所得制限の対象となる年金

所得制限が適用されるのは、「20歳前傷病による障害基礎年金」のみです。厚生年金保険の加入期間中に初診日がある場合の「障害厚生年金」には、所得制限は適用されません。

3. 計算式(全額停止基準)

例1:単身者(扶養親族0人)の場合

  • 所得上限額: 479万4,000円
  • 判定: 前年の所得が 479万4,000円 を超えなければ、全額停止になりません。

例2:一般扶養親族が1人いる場合

  • 所得上限額の計算: 4,794,000円 + (380,000円 × 1人) = 5,174,000円
  • 判定: 前年の所得が 517万4,000円 を超えなければ、全額停止になりません。

例3:特定扶養親族が1人いる場合

  • 所得上限額の計算: 4,794,000円 + (630,000円 × 1人) = 5,424,000円
  • 判定: 前年の所得が 542万4,000円 を超えなければ、全額停止になりません。

・日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」

・厚生労働省「障害年金制度の概要」

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