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病気や怪我により生活に困窮した場合、「生活保護」と「障害年金」という2つの公的制度がセーフティネットとして存在します。
両制度は、経済的な支援を目的としていますが、その性質や目的、受給要件は大きく異なります。特に、両方を受給する場合の調整の仕組みについて、正確な理解が必要です。
本記事では、社会保険労務士の立場から、生活保護と障害年金の関係性、併給時の調整方法、および申請を検討する上でのポイントを解説します。
| 項目 | 生活保護制度 | 障害年金制度 |
| 制度の根拠法 | 生活保護法 | 国民年金法・厚生年金保険法 |
| 制度の目的 | 日本国憲法第25条に基づき、最低限度の生活を保障する。 | 国民の老齢・障害・死亡に対し、保険料納付を前提に給付を行う。 |
| 受給要件 | 世帯の収入や資産が、国の定める最低生活費を下回ること。 | 初診日要件、保険料納付要件を満たし、障害の状態が国の定める等級に該当すること。 |
| 財源 | 国および地方自治体の税金(公費)。 | 被保険者の納める保険料と国庫負担。 |
| 審査・決定機関 | 福祉事務所(自治体)。 | 日本年金機構(国)。 |
結論として、生活保護を受給している状態でも、障害年金を請求することは可能です。
ただし、両方を満額で受け取ることはできません。生活保護は、国が定めた最低生活費から、世帯のあらゆる収入を差し引いた不足分を支給するという「補足性の原理」に基づいています。
そのため、障害年金は生活保護における「収入」として認定され、生活保護費からその年金額が差し引かれます(収入認定)。
つまり、障害年金を受給することによって、「最低生活費+障害年金」という形で手取り額が増えるわけではありません。
一見すると、障害年金を受給しても生活保護費が減るだけで、経済的なメリットがないように思えます。しかし、障害年金を受給することには以下の重要なメリットがあります。
生活保護の受給者が、障害年金1級または2級に認定された場合、生活保護費に加えて「障害者加算」が加算されます。
この加算は、障害による特別なニーズ(衣類・器具、介助、通院など)に対応するためのものであり、地域や級によって金額は異なりますが、実質的に手取り総額が増加することになります。
障害年金は就労などによる収入増加によって減額・停止されることは原則ありません。
一方、生活保護は、働いて収入が増えると、その分だけ保護費が減額されます。
もし将来的に体調が回復し、就労して自立を目指す場合、障害年金を受給していれば、生活保護から離脱した後も継続的に経済的な支えとなります。これは、生活保護の「自立助長」という理念にも合致する重要なポイントです。
障害年金は所得税・住民税が非課税です。また、生活保護費も非課税です。
経済的にすぐに生活資金が必要な場合は、審査期間が比較的短い生活保護の申請を優先し、その後で障害年金の請求手続きを進めるのが一般的な流れです。
しかし、長期的な安定を考えるのであれば、障害年金の申請を優先することが推奨されます。なぜなら、一度障害年金が決定すれば、上記のとおり自立に向けた活動がしやすくなるためです。
障害年金には、最大で過去5年分の年金をまとめて受け取る「遡及請求」ができる場合があります。
もし、遡及請求の対象期間が生活保護を受給していた期間と重なっている場合、生活保護の「過去の収入」として認定され、生活保護費として支給された金額の返還を求められる可能性が非常に高くなります。この点も十分な注意が必要です。
障害年金の請求は非常に複雑で、生活保護受給者の中にはご自身での手続きが困難な方も多くいます。
障害年金を受給することで生活保護から自立する可能性や、障害者加算による生活水準の向上といったメリットがあることから、一部の市町村では、社労士への報酬を「必要経費」として認める運用が行われています。
必要経費として認められた場合、社労士に支払う報酬は年金からの収入認定の対象外となるため、実質的に市役所(自治体)が費用を負担したのと同じ効果が得られます。
この「必要経費」の認定基準は、自治体によって対応が異なります。「難関案件などのやむを得ない事情がある場合に限る」といった厳しい判断がされるケースもあれば、積極的に認定しているケースもあります。
申請を検討する際は、必ず事前に担当のケースワーカー(CW)に相談し、社労士費用の経費認定の可否について確認することが極めて重要です。
生活保護における年金等の収入認定の取り扱いは、厚生労働省の通知に基づき行われています。
| 項目 | 詳細 |
| 根拠通知 | 生活保護法による保護の実施要領について(昭和36年4月1日 厚生省発第123号厚生事務次官通知) |
| 主な規定 | 第8 収入 の項において、**「収入は、世帯員及び世帯員以外の世帯の生計を維持している者が得た金銭及び物品であって、金銭に見積もりができるものの総額とする」**とされ、障害年金もこれに該当します。 |
| 経費認定の根拠 | 同通知の**第8-3(2)ア(イ)において、「年金又は恩給等を得るために必要な交通費、所得税、郵便料等を要する場合又は受給資格の証明のために必要とした費用がある場合は、その実際必要額を認定すること」**と規定されています。この「受給資格の証明のために必要とした費用」に、自治体の判断で社労士費用が含まれる場合があります。 |
生活保護と障害年金は、どちらも国民の生活を支える重要な制度ですが、両立する場合の調整(収入認定)が非常に複雑です。
特に、障害年金の申請には、初診日の確定や医師による診断書の作成など、専門的な知識と手続きが必要となります。
生活保護受給中に障害年金の請求を検討されている方は、ご自身の状況や将来の自立計画を踏まえ、福祉事務所の担当者や社会保険労務士などの専門家に相談し、最適な手続きを進めることを強くお勧めします。
日本国民であり、世帯全体の収入と資産が、厚生労働大臣が定める最低生活費を下回っている場合に申請が可能です。病気や障害、高齢などで働けないことなどが要件ではありませんが、働く能力がある場合は、その能力に応じて働くことが求められます。
原則として、すぐに生活費に充てられる資産(貯金、生命保険、不動産など)は処分して活用することが求められます。ただし、居住用の持ち家や、仕事・通勤・生活に欠かせない自動車など、やむを得ない事情がある場合は、保有が認められる場合があります。保有の可否は、個別の状況に応じて福祉事務所が判断します。
国が定める「最低生活費」から、世帯全体の「収入認定額」を差し引いて算出されます。最低生活費は、食費や光熱水費などの生活扶助と、家賃などの住宅扶助を基本とし、世帯の人数、年齢、地域、状況(障害の有無など)に応じて変動します。
支給日は自治体によって異なりますが、原則として毎月1回、月初(1日〜5日頃)に支給されます。支給方法は、原則として指定した金融機関の口座への振り込みですが、事情により窓口での手渡しとなる場合もあります。
はい、同時に請求し受給することは可能です。 ただし、両方を満額で受け取ることはできません。生活保護は、最低生活費から世帯のあらゆる収入(障害年金を含む)を差し引いた不足分を支給する「補足性の原理」に基づいており、障害年金は生活保護の収入として認定され、その分だけ生活保護費が減額されます(収入認定)。
障害年金の額が最低生活費を下回る場合、基本的に手取り総額は生活保護の最低生活費と同額になります。 障害年金は全額支給されますが、その分が生活保護費から差し引かれるためです。ただし、「障害者加算」が支給される場合は、実質的に手取り総額が増加します。