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障害年金の更新(障害状態確認届)は、受給者にとって数年に一度の「再審査」です。
「前回通ったのだから、次も大丈夫だろう」という油断は禁物です。審査側は、現在のガイドラインに照らすのはもちろん、「前回の診断書」と「今回の診断書」を並べて、その変化をチェックしているからです。なぜ更新で突然「支給停止」や「等級落ち」が起こるのか。社労士が実務で直面する実態と、失敗する人の共通点を解説します。
精神疾患の診断書が他の病気と決定的に違うのは、血液検査やレントゲンのような「客観的な数値」が存在しない点です。診断書の肝となる「日常生活能力」の判定は、医師の主観や「さじ加減」に大きく左右されます。
同じ患者さんの状態であっても、書く先生によって内容が劇的に変わるのが精神疾患の診断書の恐ろしさです。
これが更新における最大のリスクです。転院や医師の退職により、あなたのことをよく知らない医師が診断書を書くケースは非常に危険です。
新しい医師は、あなたの「一番辛かった時期」を知りません。関係性が築けていないため、診察室での一時の「落ち着いた姿」だけで判断されがちです。前回の医師が「重い」と判定していた項目が、新しい医師によって根拠なく「概ねできる(軽い判定)」に書き換えられると、審査側は「前回より劇的に改善した」と機械的に判断し、支給を止めてしまう可能性が発生します。
仕事を始めたことは、審査において最大の「変化(改善フラグ)」とみなされます。特に、障害者雇用や短時間勤務で、周囲から多大なサポートを受けて働いている実態を医師が把握していない場合、診断書には単に「勤務中」とだけ記載されることもあります。結果として、前回(無職)との比較で「社会復帰した」とだけ受け取られ、2級から3級への降格、あるいは支給停止へと転落しまうリスクが発生します。
こうした医師の主観や、主治医交代のリスクから受給権を守るために、以下の準備を徹底します。
障害年金の受給権は、一度認められれば一生安泰というものではありません。特に精神疾患においては、主治医の交代や就労状況の変化によって、ある日突然、受給の道が閉ざされるリスクが常に隣り合わせです。
更新を単なる「提出書類の一つ」と考えず、「今の自分の苦しさを、もう一度正しく国に認めさせる機会」だと捉えてください。
審査側が前回と比較するように、受給者側も「前回の自分」と「今の自分」を客観的に比較し、書類の整合性を整える必要があります。医師の主観や、交代したばかりの医師の不慣れな判断によって、あなたの生活を支える命綱(年金)を断たせてはなりません。
「医師にどう書いてもらうか」ではなく、「医師に事実をどう伝えるか」。この一歩を踏み出すことが、更新という壁を乗り越えるためのもっとも有効な手段です。
執筆者情報
氏名(社労士名):野口幸哉
所属:東京・埼玉精神疾患障害年金ネット
資格:社会保険労務士
専門領域:障害年金、精神疾患に関するサポート業務
実務経験:10年以上、申請代行800件以上
プロフィールページはこちら → https://lin.ee/N7Xm2sR
監修
監修者:野口幸哉(社会保険労務士)
※本記事は専門家による内容確認(ファクトチェック)を経て公開しています。